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ネットワーク構築業者の選び方|失敗しないための10のチェックポイント【情シス担当者向け】

オフィスの移転や増床、あるいは「Wi-Fiが頻繁に切れる」「社内サーバーへのアクセスが遅い」といったトラブルを根本的に解決するため、外部の専門業者への発注を検討する機会は多いかと思います。しかし、いざ探してみると、大手のシステムインテグレーター(SIer)から地域のOA機器ベンダー、ネットワーク専門のインフラ事業者まで無数の選択肢があり、「何を基準に選べば自社にとって最適なのか分からない」と頭を悩ませていないでしょうか。

ネットワークは、一度構築すると5年、10年と企業のビジネスを支え続ける重要なライフラインです。選定を誤ると、業務効率の低下だけでなく、度重なるシステム障害や、運用フェーズでの予期せぬ追加費用に苦しめられることになります。本記事では、20年以上にわたり中小企業のネットワーク構築に携わってきた視点から、業者選びの基準となる10のチェックポイントと、相見積もり時に見落としがちな盲点を中立的な立場から詳しく解説します。

なぜ業者選定で失敗するのか|3つの典型パターン

ネットワーク刷新における外注の失敗事例を分析すると、その多くは技術的な問題ではなく、発注前の「業者選定の評価軸」に原因があります。

20年以上の現場経験から、業者選定で最も失敗が多いのは「初期費用の安さ」だけで判断したケースです。ネットワークインフラの構築において、目に見える初期コスト(機器代金や工事費)の安さだけで業者を決定してしまうと、以下のような3つの典型的な破綻パターンに陥りやすくなります。

パターン①:目に見えない運用コストの肥大化

初期費用は格安だったものの、導入後のちょっとした設定変更(VPNの追加やIPアドレスの変更など)のたびに高額なスポット作業費用が請求され、数年間のトータルコスト(TCO)が跳ね上がるケースです。

パターン②:要件定義のミスマッチ

自社の業務実態や、3年後の人員増加計画などが設計に反映されておらず、導入直後から「Web会議の音声が途切れる」「特定の時間帯にファイル共有が極端に遅くなる」といったネットワークのキャパシティ不足に直面するケースです。

パターン③:トラブル発生時の責任の押し付け合い

「回線」「プロバイダ」「ルーター」「社内PC」の窓口がバラバラで、通信障害が発生した際にどこに連絡すべきか分からず、各ベンダーが「自社の範囲に問題はない」と主張して復旧までに長時間を要するケースです。

業者タイプ別の特徴と向き不向き

自社に最適なパートナーを見つけるためには、まず市場に存在する事業者の構造的な特徴を理解し、業者比較を行うことが重要です。どのタイプが優れているかではなく、自社の規模や予算、社内リソース(情シス人員の有無)によって向き不向きが存在します。

1.大手SIer・通信キャリア系

日本全国に拠点を持ち、大規模なシステム統合を得意とする事業者です。高いブランド力と信頼性があり、大規模なプロジェクトマネジメント体制が確立されています。データセンターから回線、セキュリティまで一括して大規模なインフラを依頼できる強みがあります。

予算が豊富で、数千名規模のエンタープライズ要件には最適です。一方で、中小・中堅企業向けの小回りの利いた対応や、個別のカスタマイズ要望に対しては、組織が大きいため意思決定や調整に時間がかかる傾向があります。

2.地域のIT事務機器・OAベンダー

複合機やオフィスのデスク、ビジネスフォンなどと一緒にネットワーク機器も扱う事業者です。日頃からオフィスの消耗品や機器のメンテナンスで出入りしているため、気軽に相談しやすく、トラブル時にすぐ駆けつけてくれる安心感があります。

従業員数名〜数十名規模で、標準的な市販のWi-Fiルーターを設置するようなシンプルな環境であれば手軽で便利です。ただし、VLANの切り分けや拠点間VPNの冗長化、UTMを用いた高度なセキュリティ設計など、専門的なネットワーク最適化が必要な中堅企業(50〜300名規模)の要件に対しては、社内の専門技術リソースが不足している場合があります。

3.ネットワーク専門のITソリューション事業者

企業のITインフラ(サーバ・ネットワーク)の設計・構築・運用に特化した専門事業者です。ネットワークに関する深い専門知識を持ち、最新の通信規格やセキュリティトレンドに基づいた最適な設計を提案できます。インフラに特化しているため、コストパフォーマンスが高いのも特徴です。

専任の情シスが不足している、あるいは「社内のネットワーク環境を根本から見直して最適化したい」という中堅企業に非常に向いています。ただし、大手のような手厚い24時間365日のオンサイト保守体制を標準で維持しているところは少なく、保守メニューの内容を事前に精査する必要があります。

失敗しない10のチェックポイント

これらを踏まえ、具体的なネットワーク構築業者選びの基準となる10のチェックポイントを解説します。RFP(提案依頼書)の作成や、相見積もりを評価する際のスコアシートとしてご活用ください。

1.提案前に徹底した「現地調査」を行っているか

見積もりを依頼した際、図面データだけを見て机上で提案書を作成する業者は警戒が必要です。当社では現地調査の有無を選定の最重要ポイントと考えていますが、これは机上の提案と実装段階での乖離を最も小さくするためです。目に見えない電波干渉や壁の材質、天井裏の配線ルートは、現場を見なければ正確な設計はできません。

2.将来の「拡張性」を見据えた設計になっているか

「今いる社員の人数」だけで設計する業者は避けるべきです。3年後の人員増加、フリーアドレス化の計画、持ち込み端末(BYOD)の増加を見据えた余裕(バッファ)を持った設計になっているか確認してください。

3.技術者の資格や「現場経験」が公開されているか

Cisco等のベンダー資格の有無だけでなく、自社と類似した規模や、製造業・医療・オフィスビルといった「環境特有の構築実績」を豊富に持っている担当者がアサインされるかどうかが重要です。

4.トラブル時の窓口が一元化(ワンストップ)されているか

回線トラブルなのか、機器の故障なのかの切り分けを含め、障害発生時に「まずここに電話すればいい」という単一の窓口(ファーストコンタクトポイント)を提供してくれるかを確認します。

5.セキュリティ対策(UTM等)の専門知識を有しているか

単に繋がるだけでなく、外部からの不正アクセスや内部からの情報漏洩を防ぐためのファイアウォール・UTMの設定、ゲスト用Wi-Fiの隔離(VLAN設計)を適切に行えるセキュリティの知見が必要です。

6.非IT層(経営陣や総務)にも分かる言葉で説明してくれるか

専門用語を並べるだけの業者は、導入後のトラブル時にも分かりにくい説明に終始する傾向があります。提案段階で、社内の非IT層に対して「なぜこの機器が必要なのか」を納得感のある言葉で説明できるかも重要です。

7.既存インフラの資産や契約を尊重してくれるか

すべての機器を最新のものに全取替えする提案ではなく、まだ使えるハブや既存の回線契約を活かしつつ、ボトルネックとなっている部分だけをピンポイントでリプレイスする柔軟性があるかを見極めます。

8.運用・保守の費用構造が明確になっているか

月額の保守料金に含まれる範囲(リモート対応、現地駆けつけ、代替機の先出しセンドバックなど)と、有料となるスポット対応の境界線が明文化されているかを確認します。

9.自社と同規模の中堅企業における導入実績があるか

大企業向けのガチガチのシステム設計や、小規模店舗向けの簡易的な設計ではなく、「従業員50〜300名」という中堅企業特有のコストとパフォーマンスのバランス感覚を理解している実績が必要です。

10.クラウド(SaaS)環境への最適化ノウハウがあるか

ZoomやMicrosoft 365などのクラウドサービスを多用する現代において、トラフィックの集中を回避するネットワーク制御技術(インターネットブレイクアウトなど)の提案ができるかチェックします。

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業者選定前の社内整理に|RFP作成にも使えるチェックリスト

10のチェックポイントを確認するには、まず自社の現状と要件を整理する必要があります。当社の『オフィスネットワーク自己診断チェックリスト』は、業者へRFPを出す前の社内整理にもご活用いただけます。

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見積もり比較で見落としがちな3つの観点

複数のネットワーク構築業者から見積もりを取得(相見積もり)した際、金額の合計だけを比較すると、のちの外注失敗に繋がります。内訳を見る際は、以下の3つの観点を必ずチェックしてください。

1.「一式」表示の項目と、その内訳の具体性

見積書に「ネットワーク工事一式」「設定費一式」としか書かれていない場合、その中にどこまでの作業が含まれているのか(アクセスポイント何台分の設置か、予備LANケーブルの敷設は含まれるか等)をテキストで明記させる必要があります。

2.機器のライセンス期間と更新費用

UTMや集中管理型のアクセスポイントには、セキュリティパッチの提供や管理画面を利用するための「年単位のライセンス費用」が必要なものが多くあります。見積もりの初期費用に含まれているライセンスが「1年間」なのか「5年間」なのかを確認してください。1年契約の場合、2年目以降に高額な維持費が突発的に発生します。

3.拡張時の追加費用構造

当社の経験上、運用フェーズで追加費用が発生するケースの多くは、最初の契約時点での「拡張時の費用構造」の明確化不足が原因です。例えば、「来期に新しい営業所を1箇所増設してVPNで繋ぐ場合、追加の設定費用はいくらになるか」といった将来の変更コストの目安を、見積もり段階で確認しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。

契約前に確認すべき5つの条件

発注先を確定し、最終的な契約書を締結する前に、以下の5つの実務的条件について合意を形成しておくことを強くお勧めします。

1.責任分界点(どこまでが業者の責任範囲か)

「建物の壁の配管まではビル管理会社の管轄、そこから先のLANケーブルと機器は業者の管轄」といったように、物理的・論理的な責任の境界線(分界点)を設計図や書面上で明確にしておきます。

2.障害発生時のエスカレーションフロー

万が一、ネットワークが全面停止した際、どのようなルートで連絡を回し、誰が初期対応の判断を行うのかという「緊急時連絡網」と「対応ステップ」の事前合意です。

3.導入後のネットワーク構成図・設定情報の引き渡し条件

一部の業者では、セキュリティを理由にルーターの管理者パスワードや構成図を開示しないケースがあります。これだと、将来的に業者の対応に不満があって別の業者にリプレイスしたくても、システムがブラックボックス化していて身動きが取れなくなります。設定情報は必ず自社で保管できる契約にしてください。

4.内装工事やオフィス家具業者との連携スケジュール

オフィスの移転や模様替えを伴う場合、ネットワークの配線工事は、内装の壁や床(OAフロア)の施工タイミングと完全に連動させる必要があります。業者間で直接スケジュール調整を行ってくれるかを確認します。

5.既存ネットワークからの切り替え(移行)手順

新システムへの切り替えに伴い、社内ネットワークが一時的に切断される時間がどれくらい発生するか、業務に影響の出ない「休日や夜間の作業」に対応してくれるかの条件を確認します。

まとめ|業者選定はパートナー選定

オフィスのネットワーク再構築を成功させるための業者選びとは、単に仕様を満たす安い機器を探すことではありません。企業の成長に伴うオフィスの変化や、突発的な通信トラブルが発生した際に、自社の「社外情シス」として誠実に伴走してくれる信頼できるパートナーを見つけ出す作業そのものです。

自社の現在の課題感、リソース、そして将来の展望をフラットに提示した際、それらを汲み取った「押し付けのない提案」をしてくれるかどうかが、最終的な判断基準となります。各業者の特徴や強みを客観的に比較し、自社にとって最もストレスのない、対等な関係を築ける事業者を選定してください。

NEXT STEP

次の一歩:
自社にとっての最適解を、一緒に整理しませんか?

ここまで10のチェックポイントを見てきましたが、貴社の状況に当てはめて優先順位をつける作業は、社内だけでは難しいものです。「うちの規模感だと、結局どこに頼むのが最適なんだろう?」と迷われている場合、30分の無料相談でお聞かせいただければ、貴社の状況に合わせた選定の方向性をお伝えします。

当社が最適でない場合、その旨も含めて率直にお伝えします。無理な営業は一切いたしません。

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